大阪地方裁判所 昭和61年(わ)2337号 判決 1986年10月27日
本店所在地
大阪府八尾市太田新町三丁目三〇番地
商号
株式会社南浦工芸社
代表者
南浦秀安
本籍
大阪府藤井寺市大井五丁目一一番
住居
同市大井五丁目一一番三八号
会社役員
南浦秀安
昭和九年二月一四日生
右両名に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官藤村輝子出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人株式会社南浦工芸社を罰金一〇〇〇万円に、被告人南浦秀安を懲役八月にそれぞれ処する。
この裁判の確定した日から、被告人南浦秀安に対し三年間その刑の執行を猶予する。
訴訟費用は、被告人両名の連帯負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株武会社南浦工芸社(以下、被告法人という。)は、大阪府八尾市太田新町三丁目三〇番地に本店を置き、ビニール製品の裁断加工業を営むもの、被告人南浦秀安は、被告法人の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるところ、被告人南浦秀安は、被告法人の業務に関し、法人税を免れようと企て、
第一 昭和五七年七月一日から昭和五八年六月三〇日までの事業年度において、その所得金額が五四三八万八一九六円(別紙(一)修正樹益計算書参照)で、これに対する法人税額が二一八八万二九〇〇円であるにもかかわらず、架空の仕入れを計上するなどの行為により、その所得の一部を秘匿したうえ、昭和五八年八月三一日、大阪府八尾市本町二丁目二番三号所在の所轄八尾税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が八〇〇万円で、これに対する法人税額が二四〇万円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税一九四八万二九〇〇円を免れた
第二 昭和五八年七月一日から昭和五九年六月三〇日までの事業年度において、その所得金額が七二四一万三六五八円(別紙(二)修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額が三〇三七万〇八〇〇円であるにもかかわらず、前同様の行為により、その所得の一部を秘匿したうえ、昭和五九年八月三一日、前記八尾税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一八三五万二一九八円で、これに対する法人税額が六九六万二四〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税二三四〇万八四〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全事実につき
一 被告法人代表者及び被告人南浦秀安の当公判廷における供述並びに大蔵事務官に対する質問てん末書一五通及び検察官に対する供述調書
一 大蔵事務官作成の査察官調査書一四通
一 南浦富子の大蔵事務官に対する質問てん末書七通及び検察官に対する供述調書
一 津田久和(四通)、山口真市、谷口健二(二通)、林博、畑敏行(二通)、畑豊、堂地尚(二通)、難波孟、山本正一、字野承起、佐藤信広、氏原忠良、荒木英一の各大蔵事務官に対する質問てん末書
一 登記官作成の登記簿謄本
一 南浦秀安作成の「定款」と題する書面
判示第一の事実につき
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(「記録第1号」と記載のもの)
一 八尾税務署長作成の法人税確定申告書謄本(「記録第5号」と記載のもの)及び法人税修正申告書謄本二通
判示第二の事実につき
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(「記録第2号」と記載のもの)
一 八尾税務署長作成の法人税確定申告書謄本(「記録第8号」と記載のもの)
(法令の適用)
被告人南浦秀安の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前般の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役八月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。
被告人南浦秀安の判示各所為はいずれも被告法人の業務に関しなされたものであるから法人税法一六四条一項により同法一五九条一項の罰金刑に処すべきところ、判示各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告法人を罰金一〇〇〇万円に処することとする。
訴訟費用は、刑訴法一八一条一項本文、一八二条により被告人両名に連帯して負担させることとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 上原茂行)
別紙(一) 修正損益計算書
自 昭和57年7月1日
至 昭和58年6月30日
<省略>
別紙(二) 修正損益計算書
自 昭和58年7月1日
至 昭和59年6月30日
<省略>